生きる事を始めた日



「とりあえず、パーティーまでに職業みつけといて」
〈……………………………は?〉

 ポップンワールドに連れてこられたジズが、この世界の説明を受けた後にMZDから聞かされたのはそんな言葉だった。七百年ヴェネツィアを中心に彷徨ってきたジズの前に、突如この異世界の神は出現し、詳しい説明もなしに世界の垣根を超え、勝手にポップンワールドへの移住を決定してしまったのだ。こちらからは拒否権等最初から無く、元の現実世界へ帰る術も無く、ただこの少年のなりをした神に従う他なかった。
〈仰っている意味が解りません。ただでさえいきなり世界を越えさせられ、現状を測りかねているというのに、一体何をお考えなのですか?〉
 怪訝そうに問うジズに、MZDは飄々と、
「いや、その方がパーティー盛り上がるってばさ。ただ『ベネチアから来た幽霊です』って言うより、何か職業持ってた方がインパクトあるじゃん。元々貴族だけど、『職業は貴族です』ってのはちとオカシイだろ?」
 答えになっていない答えを返しながら、サングラスの向こうの目を輝かせて笑うのだった。頭痛と眩暈を起こしそうなジズをよそに、彼は勝手に話を続ける。
「あ、居住スペースはとりあえずメルヘン王国の北東の森の中に屋敷造っといたからそこでよろしく。内装外装は好きにしていいからさ。企業でかかる資金は少しは援助するから、職業決まったら言ってくれよ。七百年分の知識あるんだから何か面白い事できんだろ? まぁとりあえず、まずはこの世界に慣れるとこからだよな。ここには人間も幽霊も妖精も妖怪も宇宙人も居るから、最初は面食らうだろうけどすぐ慣れるさ。外の世界から引っ張ってきた奴らはみんな最初は『意味わかんねえ!』って言うけど、一ヶ月くらいでなじんでるし。っていう事で健闘を祈る!」
 一気にそう言いながら、恐らく五分もかけずに描いたであろう手書きの拙い地図をつきつけて、永遠の少年は笑うのだった。

〈―――まさか、こんな日が来ようとは、一流の占い師でも予想できなかったでしょうね〉
 独りごちながら、地図を片手に森の中を浮遊する幽霊紳士。心の片隅で、どうかこの現状が夢でありますように、と願わずにはいられない。それこそ兎を追いかけて穴に落ちた少女になったような気分だった。こうして浮遊しながらも、彼はこの不可思議な世界の住人達と遭遇している。幽体化しているので自分に気付かない者もいれば、平然と話しかけてくる者(恐らく幽霊の類か……)も居て常に頭痛がする心地だった。
 このポップンワールドという世界について、MZDから簡単な説明は受けたが、それで納得しろというのは到底できない。この世界には、これまで自分がいた現実世界と同じように、ヨーロッパ、アジア等の国々がある一方で、メルヘンランド、ホワイトランドといった地域も存在する。この世界自体は大変興味深く面白いと思うのだが、現状を受け入れて素直に楽しめる程、ジズの神経は太くない。七百年間常に孤独に世界を見下ろしていたジズの前に、突如現れたMZDと名乗る神。一体彼は何者なのか。そして何故自分をこの世界に連れてきたのか。疑問は尽きる事なく頭に浮かんでくるが、いくら考えても無駄なのだろう。今の自分には、とりあえず神から提示された事を一つずつこなしていくしかないのだ。
 そうして鬱蒼とした森の中を進む事数十分、やっと目的地に到着した。
 これから自分の居住スペースになるらしい屋敷は、成程まずまずな佇まいだった。小綺麗な西洋風の屋敷で、裏には庭もついている。花でも植えれば立派な庭園になるだろう。そもそも幽霊に家等不要だが、職業を持つ上では必要という事なのか。それにしても、幽霊になってから就職活動とは滑稽だ。いや、それ以前の問題だろう。何故幽霊が職など持たねばならないのか――“その方がインパクトがあるから”というMZDの説明で納得など到底できないが、とにかく何か考えなくてはならない。右も左も解らない世界だ。提示された課題に取り組むしか、今の自分には手段がない。二ヵ月後に七回目を迎えるという、“ポップンパーティー”なる祭典に向けて、自分は出席の準備をしなければならず、その準備の第一歩が、神が提示した“職をもて”という事なのだから。
 ぐるぐると思考を巡らせながら幽体化した状態で屋敷の中に入ってみると、外装に合わせた西洋風の家具が、必要最低限揃えられていた。まぁまぁ、悪くないセンスだ。自分の故郷と生前の年代とを考慮して揃えてくれたのだろうか。内装も外装も好きにして良いと言われたので、職が落ちついたら好みの物を揃えていこう。そんな事を考えながら、まるで生身の人間のような思考に気付いて自嘲する。自分は忌まわしい契約を交わした死霊にすぎない。例え周囲が自分と接する事を求めてきたとしても、永遠に孤独であり続けるだろう。二ヵ月後のパーティーが終わりさえすれば、神も考えを改めるかもしれない。もしかしたら、また現実世界の故郷に戻れる日も――
 そんな淡い期待を抱きながら、屋敷の中を見て回った。部屋数が多く、建物自体は新しくはないが古すぎもしない。元々あった家を改築したのか、それとも神力で適当な年代の物を出現させたのか――まぁどちらであっても関係ないか。
 そうして順番に部屋を回り、最後に寝室を見てからリビングに戻ってきたジズは、長く深い溜め息をつく。
〈……………さて……〉
 これからどうしたものか。
 何となく実体化して、ソファーに腰を下ろした。柔らかな背もたれに身を沈めるのが心地よい。
 今日一日の内に異世界の神に会い、異世界に引き込まれ、就職活動を命じられて家を持たされた。全くもって理解できない災日としか思えない。また深い溜め息が勝手に口から漏れてでる。
 この世界でも一日が二十四時間なのは変わらないらしく、壁に掛けられた時計が午後四時を示し、窓の外からは西日が差し始めていた。きっと今頃、故郷の空にも美しい夕焼けが広がっていることだろう。あの輝きを、自分が再び目にする日はくるのか――とりあえず、パーティーが終わったらMZDに直談判してみよう。

『七百年分の知識あるんだから何か面白い事できんだろ?』

 彼の言葉と、期待に満ちた笑顔が脳裏に蘇る。
 一体何を根拠にあんな事を言うのか。予想はしていたが、神の思考とは理解しがたいものだ。
 折角庭があるのだから、花でも育てて売ってみましょうか……
 そう思いついたが、“幽霊が経営する花屋”と脳内変換してみて、どうにも客が寄り付かなそうだなと自嘲した。しかしながら、今自分が思いつく職といったらそのくらいしかない。常に幽体化していれば金銭は必要ないし、“職をもて”という神の命令にも反していないのだから構わないだろう。ああ、寧ろハーブを育てて売る方が良いだろうか。
 そんな事を考えている時だった。ふと、“それ”が耳に入ったのは。

『――――だぁれ?』

「!」
 声、だった。しかし人の声ではない。霊とも違う。これまで何度か耳にした事がある特別な響きをもった“声”に、ジズは立ち上がり、改めてリビングを見回した。そして微かに笑みを浮かべて、まっすぐに“声”がした方向に進み、“それ”の前で立ち止まると、
「………この世界でも、この声は聞こえるのですね」
 言って、窓辺に鎮座する少女人形の髪を撫でた。

 霊になってからというもの、彼には何故か特別な力が備わっていた。
 “人形の声が聞こえる”というこの力が何故あるのか、はっきりとした理由は解らない。初めて聞いた時は驚いたものだが、霊なら誰でも聞こえるという訳ではない事を知った時はもっと驚いた。生前から、“人形”に対して密かに興味があった。しかし貴族の間でドールブームが起こったのは自分が死んだずっと後だったので、勿論生前に人形を持ってはいなかった。ただ、当時は木製だった等身大の人形が神聖ローマ帝国で作られ始めると、その噂はルネサンスに沸いていたイタリア貴族の間で瞬く間に話題となり、生前の自分もそれに惹かれた。
 絵でも彫刻でもない、人間のように衣装をまとった“人形”。
 それは自分にとって、どうしようもなく魅力的で羨ましい存在だった。人の姿をし、人のように鎮座しながら、何も話さず何も聞かず、何も感じない人形。瞳の色のせいで“悪魔の申し子”と蔑まれた自分にとって、それはまさしく羨望の対象だったのだ。
 私も人形になれたら、どんなに良いだろう――
 人形の噂を耳にするたび憧れは募り、そして後に貿易で輸入された人形を見て、更に深く惹かれていった。自分の死後五世紀を経た時、ヘッドが陶磁器でできた人形が作成され、更にその後、全身が陶磁器で柔らかい質感の、完璧な造形がされたビスクドールが作られた時には、霊になってから一番の高揚を感じたものだ。殆どフランスとドイツで作成されていたビスクドールの工房を見る為に、初めてヴェネツィアから出たのが良い思い出だ。腕利きのドールマイスター達の技術を、自分は何度も何度も見物し、すっかりその手順やコツを覚えてしまった。
 いつか、自分の手で人形を作る事ができたら……
 そんな事を考えていた時だった。いつものように工房を見物していたジズに、人形達の“声”が聞こえたのは。
 心から人形に惹かれていた自分に備わった、とても不思議な力だった。
 彼らの言語はフランス語でもドイツ語でも、ましてやイタリア語でもなかったが、その言葉の意味を自分は何故か理解し、会話する事ができた。自分の言葉はイタリア語だったが、会話が成立するところをみると、どうやら言語は関係ないらしいと解った。
『わたしは美しい婦人に買われたいわ』
『ぼくは小さな子供がいい』
『でもお洋服を汚されるかもしれないわよ』
『そうしたらすぐ捨てられてしまうかも』
 そんな人形達の会話を聞いている内に、彼らが何も考えず何も感じない訳ではない事が解った。
 人形は、皆生きているのだ。
 人形が自ら動けるようになるには、とてもとても大きな“心の力”が必要だった。人間で例えるならば、何万トンもの岩を背負って走れるような――それほどの“力”となる心を成長させなければ動いてはいけない、と。長年彼らと接してきて、それが人形達が生まれながらに定められた制約によるものらしいと理解した。中には心を成長させて、自ら動けるようになる人形もいるが、それはごく少数にすぎない。故に自分から話せず、動けない彼らを“生きている”と認識できる者は限られるだろう。七百年過ごしてきた中で、自分と同じく人形の声が聞こえる者には会った事がない。そして、

「………そうですか……こちらの世界でも……」
 ジズが手を翳し、数瞬意識を集中させた少女人形は、自ら立ち上がり、あどけなくお辞儀をしてみせた。

 人形の心の力を、手助けする事ができる――この力を持った者にもまた、出会った事はなかった。


「………ええ。少し試してみたい事がありまして。必要な物を揃えて頂けますか? まずは――」
 見取り稽古、とは侮れないものだ。人形作りの工程を長きに渡り観察してきたが、実際に作ってみた事はなかった。しかしいざやってみると、自分でも驚く程スムーズに手が動き、思い描いた通りの人形を作り出す事ができた。一体目は簡単な作りの物を。二体目は少し手の込んだ物を。三体目はより複雑な物を――人形一体を作る毎に、その造形は美しさを増し、自分の腕はみるみる上達していった。その様に多少驚きもしたが、それよりも何よりもジズは、純粋に“楽しい”と感じていた。
 設計図を描き、粘土で原型を作る。原型から型をとり、ビスクを流し込んで、固まったら釜で焼く。各部を調整してからまた釜で焼き、磨き、徐々に色をつけていきながら更に何度も焼き付ける。中にフックを取り付け、紐を通して組み立てる。それぞれの造形に合った衣装を仕立て、着飾っていく。
 これらの工程は全て実体化した状態で行っていた。そしてどの工程も本心から“楽しい”と思えた。表面を磨くのも削るのも手が痛くなったし、何度も釜で焼くのは暑く、焼いている間に割れてしまわないかと不安も多かった。しかしそれら全てが、彼にとっては楽しくて仕方がなかった。長い時間実体化し、疲れてうたた寝をしていたり、先に作った人形達が、自分を気遣って心配してくれたり、時には飲み物を運んできたり。
「…………生きていた頃より……楽しいのかもしれませんね」
 ふと、原型の表面を削る手を止めて呟いた。そして自分が“作業部屋”としてあてがった部屋の天井を仰ぎ見る。両手は石粉で白く汚れ、エプロンも同じように白い粉で汚れている。生身の人間のように長時間、あるいは何日も実体化し、自分の家で人形を作り、その大好きな人形達に囲まれて過ごす日々。まるで七百年経った今、人形師として生まれ変わったようだと思えた。
 霊として過ごすのはもう飽きたのかもしれない。それならば、また、一日一日を大切に生きてみよう。今度はこちらの世界で、ただ、一人のZizzとして――

                       

「人形師の幽霊紳士……インパクトあっていいじゃん! なんかお前のイメージにもぴったりな感じだな!」
「それはどうも……」
 ポップンワールドにきて一ヶ月した頃、職業が決まったとMZDに連絡をしたところ、彼は数分後にはジズ邸のリビングで紅茶を飲みながらそう言っていた。
「一ヶ月前より表情いいぞ。あん時はまだ『私所詮幽霊ですから』っていう拒絶オーラぷんぷんしてたもんな」
「………まぁ……確かにその通りですね」
 複雑そうに答えるジズをよそに、MZDは続ける。
「少なくとも花屋よりも人形師の方が断然合ってるって。いい職業みつけたな! 人形師デビューおめっとさん!」
「はぁ……どうも」
「この出来なら間違いなく売れるな。人形とかぬいぐるみとか、この世界じゃ結構うけいいからさ。販売経路は俺が調整してやるから安心しろよ」
 テーブルに据えられた少年人形を手にとりながら、彼は自信たっぷりの笑顔でそう言う。
「そうですか。まぁ……売れるかどうかは解りませんが、そちらの方はお願いします。この世界の勝手はまだ、解らない事の方が多いもので」
 目を伏せて応えながら、ジズも紅茶を一口飲む。そんな彼に、
「――人間っぽくなったな」
 MZDは呟くように言い、微笑んだ。
「………そう、ですか?」
 顔を上げ、その意外な言葉にやや驚いて、ジズも呟く。
「まだ……この世界に馴染んだ訳ではありませんし、不安も多いのですが……」
「“生きて”みたくなった、だろ?」
 今度こそ驚いて、目の前の少年の顔を見る。
「俺はこのポップンワールドの神だけど、外の世界の理には干渉できない。だからお前が結んだ契約についても、ましてや過去を変える事もできない」
 彼は、真剣な表情で言葉を続ける。
「でもな、お前がこれから、こっちの世界で過ごす時間がかけがえなのない物になる、ってのは保障できる。色々あるだろうぜ。これから、今まで考えた事もないような出来事が沢山……いい事ばっかじゃないけど、でも、悪い事ばっかでもない」
「……それは、貴方が“神”だから解る事……と?」
 その問いに、MZDは頷く。彼はこの世界では間違いなく、全知全能の神である、と。
「お前さんが居た世界の神様と比べたら、威厳とか全っ然ないけどな。ま、これでもれっきとした神なんで。こんな俺が創った世界なんだから、これからの生活は絶対楽しくなるぜ」
 そう言って、しししっと笑った。
「今まで通りに、あっちの世界でただ現世に留まっていたら、こういう暮らしにはならなかっただろ?」
「ええ。確かにその通りですね」
「この世界に根を下ろしてみる気になったみたいだな」
「それはまた……これからの生活で判断しますが」
「まぁそー言うなよ」
 全く、本当に可笑しな神だ、と改めて思う。現実世界で祀られてきたどの神とも質が違うし、第一、こんなにも簡単に自分の世界の者達と接する神など聞いた事がない。だが、ジズはこのMZDという神に対して可笑しいとは思っても、嫌悪し見下すような感情は一切持っていなかった。不安がある一方で、MZDが言う“これからの生活”に賭けてみたい気になったのは事実だ。こうして長時間実体化しているのも、ましてや紅茶を含めた食物を摂取するのも、これまでの日々ではあり得ない状態だった。
 最初に思った程、この世界は悪くないかもしれない。
 今はただ純粋に、そう思えたのだ。
「……あぁ、そういえば、例のパーティーの準備は進んでいるのですか? もう一ヶ月を切ったというのに、この件に対しては全く説明がありませんが」
「ん? あー、それね……」
 問われたMZDは、また紅茶を一口飲み、カップをソーサーに置きながら、
「二ヵ月後、っての嘘」
 さらりと、そんな事を言い出した。
「…………は?」
「いやいやいや、パーティー自体は勿論あるし、お前を七回目に出演させる、ってのももう決定事項なんだけどな。でも、まだ七回目のパーティーはずっとずーっと後なんだ」
「………………ずっと後、って……?」
「んー、六、七年後?」
「何ですかそれは!?」
 全く予想外の言葉に、声を荒げてそう言うジズ。一年や半年ならまだ解るが、最長で七年後とは一体どういう事なのか。
「二ヵ月後、と仰ったのは一体どういう意図での事ですか!? 話が違いすぎます!」
 驚きと怒りと狼狽を混ぜながら訴えるジズに、MZDは苦笑を浮かべながら、
「いや、本当に七回目の二ヶ月前にいきなり呼んでも、まだこの世界に馴染めないだろ。正直に七年後、って言ったとして、うんざりして即刻出演拒否で行方くらましそうだったし」
 そう答える神。そもそもこちらに出演拒否権など無いように思われたが、と深い溜息を吐きながらジズは前髪をかき上げた。
「………貴方に対して不信感が増しました」
「そう言うなっての。これからの七年はお前にとっての準備期間だと思ってさ」
「どのような準備です?」
 怪訝そうに眉を寄せて訊ねるジズに、彼はどこか含みのある笑みを浮かべて言った。
「これからパーティーで会う面々と、仲良くなっておく準備って事」
「そ……そんな事は私には」
「あ! そうだいい事考えた! まだ六回目のパーティーもずーっと先なんだけどさ、七回目で登場する前に六回目に人形だけ出しておくってどう? 七回目で真相話したら周りびっくりするぜ!」
「え? ちょっと待って下さい。いきなりそんな」
「社交ダンスできる二人組、ちょい電波系、とかどう? よっし俺がデザインしてやる! 紙とペン借りるぞ! 顔とかこんな感じで――」
「勝手に話を進めないで下さい!」
 この時はまだ、MZDの言葉には半信半疑だったが――

 当時まだ十一歳だったスマイルが、ジズの屋敷にやってきたのが、この一年後。そして夜空でメメと出会い、森の向こうの廃墟で壊れたキリコを見つけたのは、更に数年後の事。
 そして、

「ジズ様、お茶が入りまし――きゃああ!」
「シャルロットちゃーん! 今日は何して遊ぶー?」
「あーちょっとちょっと! 壱ノ妙また怒られるっスよ! 走ると危ないっス!」
「オ前モ、ソウ言イナガラ バタバタト走ルナ」

 自分を求め、自分も求めた彼らにも出会えた、かけがえのない生活が今、ここにはあった。


End


 ジズさんが人形師になる過程の話、でした。最初はもっとさらっとした短編にするつもりだったんですが、やっぱり時代背景とか人形製造法とか色々盛り込みたくなって、色々調べながら書いてたらこんな感じになりました;
 半分以上解説で……これはたして小説と言っていいのか……情景描写少ないし;
 元々貴族だったジズさんが何で人形師になったのか、何でまるで人間みたいに常時実体化してるのか、っていうのをちゃんと考えて書いてみたくなったので、今回やってみました。まだラズさん中にいる頃です。分裂前のツンツンなジズさんも大好きなので書きたくなったんですが、今回はあんまりツンが出なかったなぁ……
 自分で書いておいて、前に書いてた物と時系列合わせるのに頭ひねりました;何も考えないで過去話ばっかり書いてるとこうなる;
 最後でチラリしたメバエはMZDデザインですww;あんな感じでぱぱっとスケッチした奴を作らせて、「家事係り、って事でいいじゃん!」と無理やり納得させて、6回目のパーティーで出させました。そういえば、小説でちゃんとMZDを書いたのはこれが初めてで、なんだか不思議な感じでした。小話ならいっぱい出てたんだけどな……(゜゜)
 小説書くのは難しいけどやっぱり楽しいので、これからもちょこちょこやっていきたいです。ここまで読んで下さり有難うございました!